この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
あやかし姫の蜜事 ~巫女の夜伽は人ならざる者と~
第1章 蜜事・一 毛羽毛現の髪之助(はつのすけ)
『でも、お母さんはその髪の毛が何処にあるか知らないの。どう探しても見付からない……だからね、暦。もしその髪の毛を見付けたら、大切にしてあげてね。暦のご先祖様が覚悟を決めた、大切な大切な髪の毛なんだから』
『分かったよ、お母さん。でも、どうしてお母さんは御神体を探してるの?』
『神の御姿をこの目で見てみたいの。それだけよ』

――やっと、見付けた。
母が探していた、御神体。

「……見付けたよ、お母さん」

誰にも聞こえるはずのない、呟き。
暦は、母の願いが成就した事を喜ぶと同時に、一抹の不満を覚える。
母が見たがっていた念願の御神体は、その母が亡くなった後にこうして発見されたのだ。
長い間御神体と思われていた鏡は、あくまで隠れ蓑だった。鏡のすぐ傍にありながら、何故気付けなかったのか…………

「ごめんね、お母さん……」

謝罪の言葉は、誰に聞こえる事もなく宙に溶ける。
しかし、元々暦は前向きな性格。いつまでもくよくよしていても仕方がないと気を取り直し、せめて母の墓前に見せに行こうと決めた。
改めて、黒髪を見てみる。
その黒髪は、本当に大昔の人間が持ち主なのかと疑わせるほど、美しく艶やかな物だった。
間違いなく、暦の髪よりも質は上だろう。
暦はふと触れてみたくなり、手を伸ばして指先で髪を撫でた。
つるりとした感触が、指先から伝わってくる。
――その時だった。

「……やっと、逢えた……」
「!」

ふと、声が聞こえた。
客人の来訪の声ではない。
明らかに、暦の近くから発せられた声だった。

「……姫」

また、だ。
自分を呼んでいるような声に、暦は堂内を見渡した。しかし、人間と思われるその声の主の姿はない。

「……だ、誰?」
「……私は、今貴女が触れておられる髪です」
「か、髪っ? この髪が?」

驚きが混じった妙な声をあげ、暦は髪から手を離した。
よく見れば、綺麗に束ねられたその黒髪は、少しずつ伸びているようだった。
桐箱にきちんと収められていた髪は、箱から飛び出し、するすると長さを増していく。

「あ……あ……」

暦は床にへたりこんだまま、後ろへ後ずさる。
30cm程だった髪は、あっという間に1mを超え、2m程になるとぴたりと伸びなくなった。

「……姫、私は貴女にお会いしたかった」

何度目かの声を聞くと、声の主は男であると分かった。
/8ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ