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引き裂かれたroyaume
第1章 引き裂かれた二人
「…………」
オリアーヌは、先代の姉王が崩御してから、パートナーは持たないで、一人で西部を統治してきた女性だ。年のほどは五十代に入ったばかりだと聞く。
オリアーヌの垂れ目がちな目許を彩る翠の双眸は、刃の如くぎらぎらした眼光があって、その顔つきは挑発的な妖艶さがある。赤い唇が自信に満ちた微笑みを湛えていた。ブロンドのウェーブヘアにほんのり湿った感じがあるのは、湯あみを終えたばかりだからか。
「よく参ってくれたわ。私がこの城の主、オリアーヌ・ヤーデルードです」
「──……」
「貴女の戦場での様子は、諜報員に聞いていました。東部は変わった国ね。……貴族に、しかも女に戦を任せるなんて。とても興味を持ったものだけれど、私にも、貴女の力を必要とする時が来た」
「お話はお聞いています。ベネシー共和国への凱旋、必ず、良いご報告をお耳に」
「その前に」
リゼットの選んだ形式ばった口上が、メゾのだみ声に遮られた。