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引き裂かれたroyaume
第1章 引き裂かれた二人
リゼットは晩餐会がお開きになると、この城の主、もとい西部の最高権力者、オリアーヌ・ヤーデルード王の部屋に呼ばれた。
オリアーヌの私室は、目も眩むほどの贅が尽くしてあった。
金箔の壁にゴブラン織りの絨毯、あちらこちらに配置された調度品は、見るからに最高級の宝石や鉱物を使ってこしらえてあった。寝室に着くまでに控えの間が十七あって、午後十時近いというのに、ざっと二十人の侍女達が控えていた。
リゼットは、天蓋ベッドに腰かけていた女性の前に膝をつく。
鼻が、官能的なオードトワレの香りの刺激を受けた。
「初めまして。……オリアーヌ・ヤーデルード陛下」
「顔をお上げ。リゼット」
リゼットは、身体中がざわつくほどの芯の通ったメゾの声に絡め捕られるようにして、その言葉に従った。
今日まで仕えてきたアルフリダ・シャンデルナ王の敵の顔を、今、初めて確かめる。