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引き裂かれたroyaume
第1章 引き裂かれた二人
「お前が本当に信頼に値する人材か、私には確かめる義務がある」
「どういうことですか?」
「いらっしゃい」
オリアーヌの長い指先が、羽毛布団をとんとん叩いた。
それは、寝台の側へということか?
「リゼット。お前はこのオリアーヌの臣下。けれどお前は、昨日まであの東部にかしずいていた。このヤーデルードの治める西部に牙を剥き、多大な被害をもたらした。たった一晩で主を変えるような軍人を、どうして信頼出来るでしょう」
「私の西部での従軍が、和睦の条件と聞いております。それで東部の降伏が認められたなら、今後の戦、誠意を持って尽力します」
オリアーヌの片足が、すっと前に出されてきた。
薄い絹の靴下から、小さなつま先が淡く透けて見えていた。
「もっと、分かるように、誓いなさい」
「え……」
「自分の王のおみ足に、じかに接吻するくらい、簡単でしょう?」
「なっ……」
リゼットは言葉を失った。
侍女達のかしこまっている壁面を見渡す。もちろんイルヴァの姿はなかった。