この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
引き裂かれたroyaume
第6章 壊された記憶
「そ……んな……」
イルヴァに今朝聞かされた通りの話だ。
あれは、リゼットのことだったのか?
だとすれば、リゼットは、ずっと赤の他人の屋敷で生きてきたことになる。
母も姉も、リゼットがさぞ憎かったことだろう。きっと目障りだった。
リゼットは、自分の東部の人間にしては強い色素のホワイトブロンドの髪、そして西部にしては柔らかな目許、この、どちらともつかない外見が、本当にコンプレックスだった。
だが、この姿に苦しめられていたのは、リゼット自身だけではない。
この姿が、あの繊細な故郷の母親を、どれだけ苛んでいたことか。姉に、どれだけの悔しさを強いてきたことか。
「わた、し……それなのに、十九年間、ほんとのこと、隠されて……お母様に、お姉様にも、……家族だって言って……もらって……」
「…………」
「へ、陛下のお姉様を……本当の、お母様を、苦しめて……育てて、くれたお母様達を、悲しませて……」
そして、手のひらが覚えていたぬくもりは、姉と呼べる人の記憶ではなかった。
あの体温は、懐かしさは、ソフィルスと懇意の関係にあったリードホルム家の一人娘、亡き王の話をしてくれた、この地で側に居てくれた、この敵地でリゼットを支えていてくれた人のものだ。
「イルヴァ……」
「リゼット」
オリアーヌに腕を引かれて、近くのソファに突き倒された。
オリアーヌの顔が近づいてきて、唇にそれを押しつけられた。
見かけより厚い肩を押し退けんと力を込める。そうして強引なキスから逃れんとして顔を逸らせると、後頭部を掴まれて、舌をねじ入れられてきた。
「んっ、む……」
リゼットは、片方の膝をオリアーヌに跨がられていた。
後ろ髪を掴まれて、顔を上に向かされて、無遠慮に犯されていた口内に、涎とも唾液ともつかないものが、大量に注ぎ込まれてくる。
「や……あぁ……んっ、……」
リゼットの唇の端からこぼれかけた液体が、オリアーヌの舌に掬われた。そしてまた唇を塞がれて、リゼットが口内を満たしたものを飲み込むまで、執拗なキスをすりつけられる。
「んん、はぁっ……やっ、やめ……やめて下さいっ……」
リゼットの胸にオリアーヌの手が伸びてきた。まるでパンでもこねる粗暴な手つきで、シャツに皺が残らんばかりに乳房を揉まれる。