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引き裂かれたroyaume
第6章 壊された記憶

「そ……んな……」

 イルヴァに今朝聞かされた通りの話だ。

 あれは、リゼットのことだったのか?

 だとすれば、リゼットは、ずっと赤の他人の屋敷で生きてきたことになる。

 母も姉も、リゼットがさぞ憎かったことだろう。きっと目障りだった。

 リゼットは、自分の東部の人間にしては強い色素のホワイトブロンドの髪、そして西部にしては柔らかな目許、この、どちらともつかない外見が、本当にコンプレックスだった。

 だが、この姿に苦しめられていたのは、リゼット自身だけではない。

 この姿が、あの繊細な故郷の母親を、どれだけ苛んでいたことか。姉に、どれだけの悔しさを強いてきたことか。

「わた、し……それなのに、十九年間、ほんとのこと、隠されて……お母様に、お姉様にも、……家族だって言って……もらって……」

「…………」

「へ、陛下のお姉様を……本当の、お母様を、苦しめて……育てて、くれたお母様達を、悲しませて……」

 そして、手のひらが覚えていたぬくもりは、姉と呼べる人の記憶ではなかった。

 あの体温は、懐かしさは、ソフィルスと懇意の関係にあったリードホルム家の一人娘、亡き王の話をしてくれた、この地で側に居てくれた、この敵地でリゼットを支えていてくれた人のものだ。

「イルヴァ……」

「リゼット」

 オリアーヌに腕を引かれて、近くのソファに突き倒された。

 オリアーヌの顔が近づいてきて、唇にそれを押しつけられた。

 見かけより厚い肩を押し退けんと力を込める。そうして強引なキスから逃れんとして顔を逸らせると、後頭部を掴まれて、舌をねじ入れられてきた。

「んっ、む……」

 リゼットは、片方の膝をオリアーヌに跨がられていた。
 後ろ髪を掴まれて、顔を上に向かされて、無遠慮に犯されていた口内に、涎とも唾液ともつかないものが、大量に注ぎ込まれてくる。

「や……あぁ……んっ、……」

 リゼットの唇の端からこぼれかけた液体が、オリアーヌの舌に掬われた。そしてまた唇を塞がれて、リゼットが口内を満たしたものを飲み込むまで、執拗なキスをすりつけられる。

「んん、はぁっ……やっ、やめ……やめて下さいっ……」

 リゼットの胸にオリアーヌの手が伸びてきた。まるでパンでもこねる粗暴な手つきで、シャツに皺が残らんばかりに乳房を揉まれる。
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