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引き裂かれたroyaume
第6章 壊された記憶

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 屋敷に戻って、フロリナにさんざん泣かれた。エメは、そうして内気なくせに立派に甘えたがり屋で無邪気なあの少女を宥めた後、シャワーを浴びて、近い将来に備えて辞表をしたためていた。そうしている内に、改めて城の使いが訪ねてきて、シャンデルナの居城へ向かった。

 そして、たった今、この数年仕えてきた主に、とんでもない命令を下されたところだ。

「リゼットを……殺せ?」

「貴女が、今回の戦までエリシュタリヴ・オルレに残ってくれること……助かったわ。ただし、辞任は交換条件として認めるわ。リゼットの首を捕ってきて」

「あたしには、いつ自由がなくなったんですか?」

「自由を認めないわけではないわ。貴女は由緒ある家柄の貴族で、今までだって、城に貢献してきてくれた。だからこそ、よ。前回のたった一度の敗戦ごときで、簡単に辞めさせられないの」

「国どころか、部下の一人も庇えなかった人間に、エリシュタリヴ・オルレを今後もまとめていけと仰るんですか?」

「──……。何があったか、訊かないでおくわ。ただ、貴女の報告と風の噂は一致した。リゼットが向こうでかなりの扱いを受けていることは分かった。あの子は、二年間、貴女の下で働いていた。シャンデルナの誇るエリシュタリヴ・オルレの隊員だったの。引き渡した身柄でも、これ以上生き恥をかかせては、東部がますます見下されるだけ」

「生き恥……?本気で……」

 この王は、本気で、こんな酷いことを口に出来る人物だったのか?

 否、本気だ。

 アルフリダは、城に誠心誠意仕えてきた軍人のために戦は起こさなくても、ぽっと発見された島の遺跡のためなら戦を起こす。そういう王だ。
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