この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
引き裂かれたroyaume
第7章 *最終章*失われた希望と、──
* * * * * * *
リゼットが武装して城門を出ると、ヤーデルードの主要兵士達が集まっていた。ざっとこれからの作戦を確認し合っておくためだ。
「陣形、配置は確認した通り。国防軍には、町を守ることを最優先させなさい。東部の軍は、おそらく国境を突破してくる。既に臨時隊を行かせてあるわ。あと二時間は大丈夫。ただし、昨夜中に少数精鋭が送られてきている可能性も──」
「リゼット様」
「何?」
「リゼット様は、東部の軍に随分お詳しいと存じます。しかし、我々が懸念しているのはエリシュタリヴ・オルレと衝突したケースのこと。あやつらの戦法、弱点を、お話し願います」
「それは分からないわ。分かっているのは、敵のあらゆる予想に反する戦略をとること。だから私達は六手に分かれて、落ち合う時間を厳守しなければならない。私は城下町を抜けて山へ向かう。同行はいらない。或いはそこで東部軍に行き当たれなかったら、その北北東、海へ移るわ。翌朝になっても私が城に戻らなければ、兵を寄越して」
「翌朝ですか?」
「東西の戦はあの通り。被害を抑えることに尽力しても、前回同様、一日で決着がつくことはないでしょう。それに私は、オリアーヌ陛下にあのような命を下されている。持ち場へ、あの人をおびき出すだけで精一杯になると思う」
「ほぉ、貴女様のご遺体をも、我々が回収せねばならないと」
「そうならないよう努力はするわ」
リゼットは、隊員達を見回す。
皆、眉根を寄せたり腕を組んだり、真剣そのものの顔をしている。全身から緊張感がみなぎって、辺りに、闘志の灼熱が充満していた。