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引き裂かれたroyaume
第1章 引き裂かれた二人

 リゼットは寝台に進み出る。

 オリアーヌの白い足を包んだ靴下を下ろして、その指先を唇で触れる。

「舌でマッサージして頂戴」

「…………」

 ぺちゃ、じゅる、と、唾液の水音がこぼれ出す。

 リゼットはオリアーヌに命じられるのに従って、親指から小指までの一本一本、唇と舌を使って、丹念に撫で回す。

 それから口許に付着した唾液を拭う暇も許されないで、もう一方の足が突き出てきた。

 どこからかシャッターの音がした。

「東部出身の貴族も落ちたものね。こうも簡単にひざまずく。明日の新聞は見物だわ。生意気なエリシュタリヴ・オルレの軍人が、この私に奉仕している見開きなんて、愉快ったら」

「いやっ、写真は、──」

 ばしっ、と、頬に鋭い痛みが走った。

 リゼットが顔を上げたのとほぼ同時、オリアーヌの平手が飛んできたのだ。

「誰が休んで良いと言った?!」

「あぅっ……」

 くずおれた身体を顎から掴み上げられて、オリアーヌの正面に、立ち上がらせられる。

「ドレスをお脱ぎ」

「何も、隠していません」

「まだ自分の立場が分からない?」

「はぅっ」

 顎から喉へ、喉から鎖骨へ伝ってきた短い爪が、がりりと皮膚に食い込んできた。

「ぁああ!」
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