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引き裂かれたroyaume
第7章 *最終章*失われた希望と、──
「広い海……。この向こうには、リテスキュティージではない国が、たくさんあるのね」
「リゼットは、どこへ行きたい?」
「エメのいてくれる場所ならどこでも。ここだけはいや。ここは、一緒にいさせてもくれなかったもの」
東部にいても西部にいても、決して自由に生きられなかった。
リゼットは、それでも一人で立っていようと、いつだって自分の存在価値のために、務めて気丈に振る舞っていた。
もう疲れた。一人でなんて生きてゆけない。
気付いたからだ。愛を拒んで、誰も信頼しないで生きてゆく。それがどれだけ惨めで無様か、あの感情をなくした叔母と過ごして分かった。
「朝までに、どこか知らない外国の船が、迎えに来てくれるかしら。エメと、私を、助けて……くれるかしら」
「──……。来るさ。西部には、輪廻転生信仰がある。生まれ変わって、きっと、一からやり直せる」
「ふふっ、それって、一度終わらなくてはならないという信仰でしょう?大丈夫」
リゼットは、エメの手の甲に自分の手のひらを重ねる。
「迎えの船さえ来てくれたなら、このまま、明日が来るわ。明日も明後日もそのまた次も、一緒に……」
「リゼット……」
二人、どちらからともなくキスを交わす。
大汗をかくほど乱れて、奪って奪われて、それでも全然足りていない。