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引き裂かれたroyaume
第2章 踏みにじられた想い
* * * * * * *
食欲も、ましてやめかし込むだけの気力は全くなかった。
リゼットは、それなのに、イルヴァに促されるまま、メイドの運んできた朝食に手をつけた。そして、またしても差し出されてきたドレスに袖を通した。今日のドレスはイルヴァの持ち物ではなく、城のがらくた置き場にあったらしい。
西部の町は、活気があった。戦の痛手は東部に比べてましだったのか、店屋のほとんどが営業していた。人々の顔にも覇気があった。
リゼットは、初めての町を、イルヴァと並んで歩いていた。
「ドレス……豪華ですね」
「気に入ってくれました?」
「今朝身につけていた寝巻きもシルクでしょ。このドレスも、……私には贅沢です」
リゼットは、慣れないドレスをまとった自分自身の身体を見下ろす。
ドレスは、銀糸の混じった青い小花の刺繍が全体に施してあるアイボリーの生地で仕立ててあった。裾から覗いた群青のシフォンのフリルが、歩く度にふわふわたゆたう。イルヴァが髪に留めてくれたフェイクフラワーの髪飾りも、トパーズとジルコニアを使って細工されたものらしかった。
「リゼット様にお似合いです。城にお入りになった時のお姿も、凛々しくて……貴女らしくてございましたが。たまには、こんなお姿も見せて下さい」
「…………」