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引き裂かれたroyaume
第2章 踏みにじられた想い
* * * * * * *
リテスキュティージの東西を結んだ歩道は、ほぼ無人だ。馬車の通行が可能になった今、わざわざ歩く旅人もいないのだろう。
あと少しで西部の町に差しかかるところに、老婆がうずくまっていた。
老婆は、一目で西部の国民だと分かる特徴を持ち合わせていた。
「うっ、うぅぅ……」
「大丈夫ですか?どうかされたんですか?」
エメはタパニを従えて、老婆の側に駆け寄った。
弱々しい小さな女性が血眼を向けてきたのはやにわのことだ。
「来たな!東部のゲスどもめが!」
「…──っ」
「隊長、ここは私に任せて下さい。貴女様は町へ」
「素人相手に剣を抜くなっ」
エメはタパニの腕を引っ張って、駆け出した。
町は、もう目の前だ。
エメはタパニと、一軒の宿屋のあるところに出た。
庭先で、女性が一人、洗濯物を干していた。