この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
引き裂かれたroyaume
第2章 踏みにじられた想い

「あら、旅の方ですか?」

「はい、ちょっと」

「貴女がたは、何故、こんな裏道から?」

「馬車が足りなくて。……徒歩で来たら、途中でおばあさんに追いかけられました」

「まぁ、元気なご婦人。お気を付けになって下さい。西部の年寄りは、そんな人ばかりです。時代が変わっても、一度喧嘩した事実があれば、いつまでも恨み続けます。けれど、私は半世紀も生きていない。東部に個人的な恨みはありません」

 女性の玲瓏たるかんばせが、愉快そうに綻んだ。

 ブロンドの太い巻き毛に艶やかな煌めきを湛えた双眸、女性の佇まいはオペラ歌手でも聯想する華やかさがある。洋服も、庶民にしては派手な仕立てだ。年のほどは、見た感じ、三十代半ばといったところか。

「私は、ジュリー・ブラントと申します。宿にあてはありますの?」

「いいえ」

「良かったらお泊まりになって下さい。私に出来ることでしたら、お力添えさせていただけると思います」

 エメの腕に、ジュリーの悩ましげな指先が伸びてきた。

 刹那、撫でられていく感覚がした。だが、姉が妹にするように、すっと引かれただけだった。

「エメ様。お姉さんを味方に付ければ、あの方の情報も早く得られるかも知れません」

「……そう、だな。いざという時かくまってもらえるところは、ないよりあった方が良い」

「さぁどうぞ、まずはラウンジへ。旅のお疲れを癒やす当館自慢の紅茶をご用意いたします」
/136ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ