この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
引き裂かれたroyaume
第2章 踏みにじられた想い
* * * * * * *
リゼットはイルヴァに連れられて、美術館に次いで雑貨や茶葉の店屋を見て回った。それから二人、 カフェに入った。
カフェは、広いフロアを抜けていくと、少人数の客のための個室があった。
室内は、可愛らしい小花柄の壁紙で全面を覆い尽くしてあって、足を伸ばしてもくつろげるくらいの広さがあった。
リゼットは、イルヴァと二人、そこでオーダーしたケーキセットが運ばれてくると、手を合わせた。
「今朝、夢を見ていたみたいなんです」
「あ……それで」
「どうかしました?」
「何でもないです」
リゼットは、イルヴァの一瞬見せた気まずそうな顔を見逃さなかった。
「リゼット様」
「何ですか?」
リゼットは、タルトから掬った苺を慌てて飲み込んで、イルヴァに向かって背筋を伸ばす。
「敬語、そろそろやめてもらえませんか?」
「えっ……」
「呼び方も。調子狂うっていうか」
「──……」
「リゼット様は、まるで私のお姫様。お姫様にそういう態度は似合いません」
「…………」
こんな言葉を寄越されたのは、初めてだ。
リゼットは、それなのに、からかわれている気が全くしない。いやな気もしない。