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引き裂かれたroyaume
第3章 切り裂かれた純心
壮大な城が蜜色の夕陽に染まる頃、緑豊かな庭園の中でもひときわ美しい眺めの広場で、やんごとなき婦人達のガーデンパーティーが始まった。
リゼットは、長テーブルの上に仰向けに横たわっていた。
パーティーはスタンディング形式だ。リゼットを挟んで七人ずつ、十四人の来賓達が並んでいた。
リゼットは、裸体の背を優雅なレースのクロスに預けていた。
両手首は枷に填められて、頭上に固定されている。脚は自ら開いているよう、オリアーヌに厳しく言いつけられていた。
身体の首から太ももにかけて、ケーキのスポンジ生地が重ねてあった。更に生クリームやコンフィチュールでデコレーションしてあって、新鮮なフルーツで仕上げてあった。
バスローブを剥がれた身体は、頼りないケーキのドレスから、却って無様に見え隠れしていた。
「まぁ……これが、あの戦の戦利品。思っていたより小さいわ。けれどなんて気品があって……エロティック。たとえ戦力にならなくても、別のところで使えますことね」
「オリアーヌ陛下、ご機嫌麗しゅうございます。これが異国で発案されたという、女体盛りの文化ですの?酒場の貧民でも、このような貴族の要求には応じないと聞きます。陛下は、やはり偉大なるお方でございますわ。こんな稀少なパーティーメニュー、しかもそれが東部の戦士」
「あら奥様。東部は西部に敗れた国。敗戦国から献上されてきた以上、オリアーヌ陛下に服従して当然ですわ。ましてやこのリゼットは、元エリシュタリヴ・オルレの副官。この程度のこと、贖罪にも及ばないでしょう」
ほほっ、と、どこからともなく愉快げな笑い声が立った。
リゼットが目を伏せていた顔の真上で、オリアーヌが姿勢を正した気配がした。
「皆さん。本日はお集まり下さって、有り難う。貴女がたにあの戦で何事もおありでなかったこと、心より祝福致します。さぁ、今日は無礼講です。めいっぱいお酒やお話を楽しんで」
十四人の女性達から拍手が湧いた。乾杯、と、十五個のグラスが輝きをまとって、往来していく。