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引き裂かれたroyaume
第1章 引き裂かれた二人
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西部から遣わされてきた馬車に揺られておよそ半日、西陽が水平線を染める頃、リテスキュティージのもう一人の王、ヤーデルード・オリアーヌの居城が見えた。
リゼットは、西部の官吏達に連れられて、城の門をくぐっていった。
厳重な城壁の向こうは、さしずめ一つの町だった。
貴族達が起臥しているのだろう屋敷が点々とあって、花畑の如く庭園が広がっていた。ぱっと見、人工らしからぬ小川が流れている。ちょっとした森の近くには、大理石の女神の像が佇む泉、それから東部でも珍しいと言われていた品種の薔薇が、魅惑的な芳香を撒き散らしていた。
リゼットは、離宮にある一部屋に案内された。
部屋は、シャンデルナ王室の宮殿であてがわれていた私室に比べて質素で、こぢんまりしていた。それでいて、捕虜も同然の人間が住まわされるところにしては、まともな部屋だ。
官吏達と入れ替わりに、女性が一人、訪ねてきた。