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引き裂かれたroyaume
第4章 霞んでいく過去(前)
* * * * * * *
交戦二日目、極小の島々の散らばる自然豊かなベネシー共和国の土地は、戦火が飛び交っていた。
「大変です!」
リゼットらの陣営に、隊員の一人が駆けつけてきた。
「何か問題が?」
一同は、一斉に隊員に注目する。
「はい。ベネシー軍が、北方の山の向こうの大国、シュプリーン王国の援軍を呼びつけました。兵数は、こちらが二百に対してあちらが六百。これでは自殺行為です。作戦を練り直し、速やかに城に連絡を」
「しかし」
リゼットの隣にいた年配の男性が、隊員の前に進み出た。
「この島からリテスキュティージまでの所要時間は、片道およそ三時間。間に合うのかね?」
「出来る限りの方法で、我々は引き続き時間稼ぎをします。もとより、万が一ベネシーがリテスキュティージの地に反撃を仕掛けてきたなら、城が異変に気付くでしょう」
「分かった。ともかく城に使いを遣ろう。こっちからも応援を出す」
「よろしくお願いします」
隊員が、一礼を残して戦場へ戻っていった。