この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
引き裂かれたroyaume
第5章 霞んでいく過去(後)

「おとなしくなさい。私は世間話をしに来たのではないの。リゼットと、……そして貴女。あのエリシュタリヴ・オルレの幹部を二人とも抱いたなんて事実を持てば、三年は、社交界でのお話のネタに困らなくて良くなるわ」

「あたしを思い通りにしたいだなんて、命のいらない人間のほざくことだ」

「強気なところ、リゼットは貴女に似たのかしら。だけど貴女は、あの娘より美しい。リゼットは、どこの生まれか分からないような姿をしていた。だけど貴女は生まれながらのリテスキュティージの貴族……血統書付きなのね」

 アンリの片手を振り払って、襟元に伸びてきたそれを制する。

「お前にリゼットの何が──…うぐっ」

 エメは、アンリの自分を打っていった手のひらを見つめる。

「思い上がるのはおよしなさい。貴女は敗戦国の戦士。そして私は今夜貴女を買った、西部の貴族。私が女の快楽を刻み込んであげる。あの娘をよがらせた、この指で……」

「んっ、やめ……あっ」

 首筋にキスが降ってきて、器用にボタンが外されていく。

 数多の女を抱いただけでも耐え難かった。その上、この悪夢は?

 罪は、エリシュタリヴ・オルレの隊長として、敗戦という失態を犯したことではない。多くの命を犠牲にしたことではない。
 最初で最後の愛した人を、見捨てたところにあった。
 気付いていた。リゼットがどんな目に遭わされているか、どんな苦しみを強いられているか、現実は、想像を遥かに超えていた。

 エメは、はだけたシャツの裾を握って、アンリを見上げる。

「好きに……しろ……」

「現実を思い知る気になった?」

「胸が……張り裂けそうだった。身体ごとそうなってしまえば良いのに……」

 それが無理なら、リゼットの味わった苦痛を、屈辱を、ひとひらでもこの身に映したい。

 これが贖罪になるはずない。裏切りが深くなるだけだ。

 それでも、自ら傷付かなければ、今にどうにかなってしまう。

「リゼット……」

 身体にのしかかっていた重みが、離れていった。

「貴女が私のために脱ぐところ、見ていてあげるわ。そして私にひざまずいて、詫びなさい。私は貴女に他の女の話ばかり聞かされて、恥をかいたのだから」

「…………」

 エメの傍らで、アンリが脚を組み直した。

 こんなことになるなら、リゼットに、もっと触れさせておけば良かった。
/136ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ