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引き裂かれたroyaume
第5章 霞んでいく過去(後)

 恥丘を執拗に撫でられながら、こってり薬を塗布されていく。

 奮え上がるほどの快楽が、突然湧き出た泉よろしく暴れ出す。

「ああっ!!ぁっ、ああっ、あっあっ……いやっ、もう、帰し……はああんっ!!」

「あらあら、リゼットの丸見えの性器、洪水だわ。薬が気に入ったのね?」

「王妃様には、……あっ、はぁっ……」

「わたくしには王がいる、ですって?」

 淫猥な水音の立つ膣口に、サリアの指の第一関節が吸い込まれてきた。

「王座に世襲制度のないリテスキュティージの人間には、理解出来ないことかしら。折角の機会に教えてあげるわ?リゼット。……ベネシー共和国は、代々、特定の一族の中で王の座を引き継いできた国なの。そして世継ぎを残すための相手は、王族に見合った家柄から選ばなければならない。恋だの愛だの、そんな呑気な話はしていられないわ」

「っ……、はぁ……」

「だからね」

「ひぃっ!!」

「今夜はたっぷり、わたくしの可愛いと思う貴女に、わたくしの最高のおもてなしをしてあげる」

「痛い……やぁ……」

 リゼットは、肩に寄り添ってきた体温から逃れたい一心で、身体をよじる。

 否、実際は、一ミリも動けていない。乳房に例の薬を塗りつけられて、首筋をきつく吸い上げられても、荒い息が悲鳴に変わっていくだけだ。

 イルヴァは、迎えに来てくれない。まだサリアの相手をやめる時期ではないということか。

「はぁっ、はぁ……」

 サリアが水差しを持ち上げて、瓶の中に注ぎ入れた。

 リゼットの前に、さらさらに薄まった媚薬の飲料が置かれた。

「お舐め」

「──……」

「手を使わずに」

「…………」

 リゼットは、瓶に唇を近づける。そうして水を与えられた愛玩動物よろしく、瓶の中身を啜り始める。

 ややあって、ばしゃっ、と、サリアが瓶をひっくり返した。

 リゼットがサリアを見上げると、穏やかな目をした高貴な女性が、無言の命令を仄めかしていた。

「…………」

 土を固めただけの床に染みた媚薬は、当然ながら砂っぽい。

「むぐっ」

 リゼットの頭が床に押さえつけられてきた。

 後頭部が硬いものに当たっている。サリアの履いているパンプスの爪先だ。

「遅くて、待ちくたびれるわ。早くおし」

「うっ、はい……ごめんなさい……」
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