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引き裂かれたroyaume
第6章 壊された記憶
「あぅ、うぅっ……」
「冥土の土産に教えてあげる。リゼット?お前が気を許した女は、私を愛していた恋人だったの」
「…──!!」
「イルヴァに聞かされたことはなかった?……ああ、それは、ありえないわね。話せばお前で遊べなくなるもの。お前はいつまでも愚かな箱入り娘の気分で、綺麗事を掲げている……イルヴァが私の恋人だったなんて知れば、抱かれる気にもならなかったでしょう?」
ピンヒールが離れていった。
リゼットは、オリアーヌとイルヴァを交互に見る。
「っ、……うそ……う……そ……」
リゼットは、その瞬間、後方から誰かに羽交い締めにされた。
さっきオリアーヌに命令された、レッシェルという名のメイドだ。
「──……」
「オリアーヌ様。本当に良ろしいのですか?リゼットは……」
「優秀な軍人なら足りている。早く、早く殺しておしまい!」
「うっ……」
「待って下さい!」
「イルヴァ!」
リゼットは、駆けつけてきたイルヴァから、反射的に顔を逸らせた。
合わせられる顔がない。こんな話を聞いてしまった。
リゼットは、忠誠の証という名目で、オリアーヌに何度も抱かれた。その度にイルヴァに泣きついて、消毒よろしく肉体関係をせがんで、この暴君の悪口を、さんざん聞かせた。
思い起こせば納得がいく。
先週のガーデンパーティーで、オリアーヌの懇意の貴婦人達の噂になっていたほどの美貌の持ち主、もとよりイルヴァに対する周囲の態度は、他の使用人らに対するものとは格段の差がある。何よりその体つきからしても、とても王の護衛が務まるような、戦士に向いた器量ではない。