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引き裂かれたroyaume
第6章 壊された記憶
「……やはり本当だったのねぇ」
「…──っ?!」
「イルヴァ。……リゼットを断罪して貴女がどう行動に出るか、私はそれであの者の報告の真偽を見極めようと決めていた。仮にも貴女はこのオリアーヌの寵愛を受けていた女……信じてやるつもりでいたのに」
「…………」
「雑魚兵の話が事実だったということね?イルヴァ、貴女が私のものでないのなら、リゼットだけが、私のものということになる。どういうことだか分かっていたの?」
「分かっていたら、私がリゼットを好かないと?……いい加減にしろよメス豚」
「何ですって?」
イルヴァの右手が、オリアーヌの手を振り払った。代わりにその手が、豪奢なレースの姫袖から伸びた手首を引いた。
「リゼットを何だと思ってんだよ。この子に何の罪があるって?あんたの勝手な逆恨みの餌食にされて、良い迷惑だ。こんな仕打ちばっかりしてんなら、さっさと謝って恋人の許へ返してやれよ」
「…──!!」
オリアーヌの顔がひきつった。人形同然に陳列しているメイド達も、蒼白な顔色になっていた。
「ふっ、はは……はははははっ……!!」
しゃがれたアルトの笑い声が、豪華絢爛な広間に豪快に響く。
勝ち誇った暴君の咆哮、そして、絶望の淵に突き落とされた女の悲鳴が、そこにはあった。