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引き裂かれたroyaume
第6章 壊された記憶







「……レッシェル。リゼットを隅へ」

「っ……や……」

 リゼットはレッシェルに腕を引かれて、メイドの列へ連れられてゆく。

 たった今までリゼットのいたところにイルヴァが残って、イルヴァの控えていたところにリゼットが落ち着かされた。

「せめてもの情けよ。貴女の刑はこの私が」

「殺したいほど許せない?……確かに、私に否はあります。貴女にフラれて、二日と経たない内に、リゼットを抱きました。王ともあらせられる貴女の手を、穢させるわけにはいきません。命じられれば従います。剣でも銃でも渡して下さい」

「ふっ……猿轡からこぼれる私の呻き声が可愛らしい、なんて笑っていたような貴女がそんなこと……明日は雨が降るかしら」

「っ、……」

 イルヴァの腕が、ふらつくその身体ごと持ち上げられた。

「リゼットを抱いて、私も貴女の加虐趣味を理解したの。ご覧なさい?ここには、貴女のこと指をくわえて眺めていたメイドもいる。命を粗末にしようというだけの覚悟があったなら、脱いで見せてあげなさい」

「メイドに後ろ暗いことをした覚えはありません」

「そうね。貴女に拒否権はあるわ。いつでもリゼットという代わりがいるから」

「まだ彼女を虐げ足りないんですか?」

「ああ、そうだわ。貴女が私を不快にさせる疑問、言動を口にする、或いは行動を起こした場合、処刑場の執行人にあのお姫様を引き渡すことにしているの」

「…──っ、……」

「イルヴァ……」

 違う、と、リゼットはオリアーヌに掴みかかりたい衝動でいっぱいになる。

 確かに初めは強要されて、身も心も踏みにじられた。エメとの関係までなじられた。泣けば泣くほど、もがけばもがくほど、腹中をいじり回された。
 それでも、二度目は、リゼットからイルヴァを誘った。三度目も、四度目も、数えきれないほど重ねた唇は、無意識にあの蜜の味を求めていた。大人達に傷つけられる度に重ねた身体は、きっと自ずと扇情的な匂いを放っていた。

 イルヴァの指先が、その華奢な身体を包んだシャツやボタンを外していく。

 惜しみなく晒された肩から白い布が落ちていって、ロングパンツのファスナーを下ろす音が続く。

 憎らしいほど静かな空間の中、衣擦れの音だけがやけに引き立って、前方に、下着姿の女神の身体が露になった。
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