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引き裂かれたroyaume
第6章 壊された記憶
「──……」
このどきどきは、何だ?
予測不可能なこの先に対する恐怖からくるものか、それとも、さっきから頻りに溜め息をこぼす、メイド達から伝染してきた現象か。
オリアーヌの、すっと息を吸った気配がした。
「イルヴァは、リテスキュティージ西部の刑にある、最も悪評な拷問を……知っている?」
「知りません」
「そう」
「…………」
オリアーヌのドレスと大理石のフローリングのすれ合う音がたなびいて、かた、と、何かが拾い上げられた気配がした。
「ひっ、……」
「陛下!」
リゼットは、メイドの数人の悲鳴に弾かれるようにして、顔を正面に戻した。
椅子から戻ってきたオリアーヌの手に、見るからにいかがわしい筒状の物体が握ってあった。
とは言え、見たところただのバイブレーターだ。メイド達の反応は、些か過敏ではないか?
「股の弛んだ女囚でも、これで涼しい顔を貫けた罪人はいない。人間の指も受け入れたことのない貴女なら、どうなるかしら」
オリアーヌがイルヴァの腰を引き寄せて、その下着をはぎ取っていく。
イルヴァの透き通る淡色をした真珠肌の裸体を覆っていたものが、一糸としてなくなった。
「ぁっ、陛下……くっ……」
「愉快だわ。この私を顫え上がらせたサディストの初めてが、塩責めの拷問具だなんて……。もっとも、貴女なら性器が使い物にならなくたって、大した損害じゃないでしょう?ほぉら、リテキュスティージの海から採れた粗塩は、なかなか効くのよ」
「…──?!」
「あ……っ」
イルヴァの首筋に浮かんだ歯形に、塩の塊がすりつけられる。ほんのり紅潮した患部から、みるみる炎症の色が広がっていく。
オリアーヌの手がイルヴァの乳房を無遠慮に揉んで、その唇が白い耳朶を挟み込む。
「はぁっ、……うぐ……ぁっ……」
二人の身体が大理石に崩れていって、オリアーヌのドレスから覗いた膝が、イルヴァの脚を開かせた。
「おやめ下さい陛下!」
リゼットの耳が、メイドの悲痛な絶叫に打たれる。
「さっさとやりなよ。別れた女性にべたべた触られるとか、寒気がするから」
オリアーヌの唇が愉悦に歪んだ。
その物騒なものを握った右手が、異物の侵入を許したことなどなかろう性器に近づいていく。