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第12章 海とコンビニおでん
「コーヒーも?」

沢山あるコーヒーのメニューの中で、あえて紅茶を選んだだマサトシが密かに気になっていた。

「なんか苦手で」

「...そう。じゃ、何が好き?飲み物でも食べ物でも」

「...特に好きなものは...」

「そうなんだ」

だから、そんなに細いのね。

「...でも、お酒は好きでしょ?」

「そうですね。お酒はまあ飲みますね。最初はビールをちょびっと、あとは焼酎とかかな。そんなに沢山飲まないけど」

「そうなんだ。え、じゃ、昨日のお店だとワインとかカクテルとかしかなかったから、飲むもの困ったんじゃない?」

「ははっ。焼酎や日本酒もありましたよ」

「え?あったの?スペインバルなのに!?」

マサトシは自分から話をするタイプではなかったが、稜が聞いたら快く答えた。
どちらかというと、稜の今までの好きになったタイプに近かった。

そうだ。このカンジ、元カレに似てるんだ。
見た目は、全然違うけど雰囲気が...。

「ちょっとトイレ行ってきます」

そう言ってマサトシが席を立つ。

気付けば2時間近く話をしていた。
飲み物もなくなっていて、外の景色もすこし変わってきている。

ふと稜は、スマホを取り出した。
マナーモードにしている。

LINEがいくつか入っている。

そこに見慣れないものがあり。目に付く。

誰だろ、これ。昨日のコンパの人?

開いてみると、


“予約しときました”

“頑張ってお休みを取って下さいね!”

“今日のラテアートは、成功でしょ?”

そして、ラテアートの写真がついていた。
可愛い。ちょっと違う気もするが、おそらく、くま〇ンの絵だ。

名前をよく見ると

『Ryo』とある。




リョウ!!!!



心臓がばくばくする。


「どうかした?」

マサトシが帰って来ていた。

咄嗟にスマホをしまう。

「ううん。わ、私もトイレっ!」


トイレに逃げ込みながら、考える。

なんで、いつの間にLINEの友だちに?

そういえば、昨日の料理教室の申込書に電話番号を書いた。あれを登録したのか。

昨日の出来事ーキスが、事細かく思い出される。

あの時は必死過ぎていっぱいいっぱいだった。今の方が色んなことを思い出される。
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