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加虐の皇子と愛玩ドール
第6章 淫虐連鎖
「以上……そう、いう、ことです。恵方巻の正しいいただき方は、恵方を向いて、一口目を黙って食べること。今年は西南西ですから、あの青い鉢植えの方を向いていただきます。そして、もう一度説明します。ここからが当店だけのルールです。……んもうっ、ほづみ!しっしっ、……皆さんが一口目をかじられてから飲み込まれるまでの間、私はあの鉢植えに、ネットから拾ってきた笑いすぎ注意と警告された画像のプリントアウトしたものを掲示していきます。そこで笑った方、つまり声を出してしまった方には、二口目以降の早食いに入るまでに、ハンディを負っていただきます。罰ゲームをクリアされるまで、二口目はお預けです」
「だからっ、それ、私が一番罰ゲームじゃない!」
ほづみが目くじらを立てた。
無理もない。雅音が発案した罰ゲームとは、つまり一口目の恵方巻を飲み込む前に笑った選手は、そこでほづみの身につけているものを一人一品その身体から剥ぐというものなのだ。ちなみに優勝者には、ほづみの手から、『Gemini』のチャージ代が無料になるという年間フリーパスが贈呈される。
「雅音!余計なことしないって言わなかった?」
「客は黙ってて」
「ってか、それ以前にほづみは私のものだし」
「っ……」
「…………」
みおりは口走った矢先、はっとした。
案の定、数人の女性らが、胸元に手を当てていた。ほぅっと溜め息をこぼしたり、交際していたのかだとか言葉のあやだろうとか、ひそひそ談義を交わしたり、好き勝手な反応だ。「リア充爆発しろ」などという囁きが聞こえてきたのは、聞こえなかったことにしてやろう。
「大体、選手権の参加者って、予約だけでもざっと二十人近くいるじゃん。脱がせるものなくなったら、どうするわけ?」
「お触りでもサービスしてもらうしか──」
「お姉ちゃん。私、帰る」
「…………」
ほづみの目が、座っていた。
この、一端堰が切れればむしろ大宴会場で裸踊りでも命じられればやりかねないマゾヒストは、そこに持ってゆくまでに手が焼けるのだ。
もっとも、みおりは雅音にほづみを利用させたくない裏腹、ほづみの性感が最も暴走するシチュエーションも心得ていた。
大勢の女の目の前で、裸体にされて犯される。
しかも、そのやり方がむごければむごいほど、あのすましたドールは狂わんばかりに乱れるのだ。