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加虐の皇子と愛玩ドール
第6章 淫虐連鎖
「無理」
「却下」
「無理、却下じゃない。大体、みおり。さっきから言ってるけど、客が口出し──」
「雅音さぁ、何。王様ゲームとメイドカフェの要素まで入ってんじゃん。ふざけて──…っ、……」
みおりはそこで、雅音の肩越しに見えるテーブル席に、思いがけない姿を認めた。
さっきのフリータイムの間は、ずっと、この二人がけのソファの右側に座っていた。従って、あのテーブルは、観葉植物の死角になっていた。
だが、みおりは今、左側に腰かけている。隠れていた一角がすっかり見渡せて、そこにあるテーブル席に、数日前にも顔を合わせた三人組が落ち着いていたのだ。否、顔を合わせたくらいの縁ではない。
「みおり?どうかした?」
「──……。雅音。あいつら、早食い大会参加してなかったよな?」
みおりは、三人組、すなわち焦げ茶のスパイラルパーマの可憐な美女と、ボブの髪に涼しげな顔立ちをしたユニセックスな装いの美女、それから、塾か高校にでも勤めていそうな女性を示した。
「あちらのお客様達なら、身内で盛り上がっていらっしゃったわ。ほづみの裸だって、いくら曲線美でも好き嫌いはあるわよ。知り合い?」
「例の……会議室の」
「あら、偶然。みおりが屈辱を味わったっていう」
「あっ、みおりさんが営業玉砕された人達ですか?」
「──……。雅音。ほづみに話したの?」
「面白かったから」
みおりは悪びれない姉妹を交互に見ると、ほづみはともかく、雅音はそろそろ交番に突き出すべきかと自問する。
この店は、プライバシーまで守られないのか。
だが、これはチャンスだ。
みおりには、いくら雅音の企みがほづみをいつになく乱せる好機を呼び込むものだとしても、付き合っていられることといられないことがある。
「雅音」
「ん?」
雅音の首が傾いた、その時だ。
「塙岸さん、ご無沙汰してます」
みおりが、やはり聞き覚えのある声に振り向くと、雅音の斜め後方に、しほの親しげな微笑みがあった。泉美も一緒だ。