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加虐の皇子と愛玩ドール
第6章 淫虐連鎖

「……先日はどうも」

 みおりの足許に、泉美が滑り込んできた。

 泉美の両手に、片手をとられる。 その愛らしい垂れ眉が、ひとしお目尻に向かって下がっていた。

「塙岸さん、先日は、ごめんなさい。折角、試用させて下さいましたのに……でも、私の身体は、しほ様の調教にしか感じられないんです……」

「思いっきり濡れてたじゃん」

「気の迷いだったんです……!!」

 みおりは、泉美の手をやんわり払う。

 またしてもギャラリーから好き勝手な耳打ちが聞こえてきたのだ。四角関係だの枕営業だの、もはや突っ込む気にもなれない。

「そういうことだ、雅音。ここにほづみをしのぐマゾヒストがいる。そして、私より鬼畜なサディストがいる」

「え、ええ」

「豆まきの的は、泉美を使いな」

「えっ?!」

「はい?!」

 泉美としほのくりんとした目が見開いた。

 無理もない。二人、露出を好んでいるところはあっても、先日の動画から察するに、小菜子以外の第三者を交えた経験はないようだった。

「無理ですよぉ」

「私、客なんで」

「私も客だった。だからやれ」

「滅茶苦茶ですって!」

「はい、お礼。仔ウサギちゃん」

「ぁん……」

 みおりは泉美の小さな口を指先でつっと開かせて、食べかけの巻き寿司を突っ込んだ。

 それから伝票に記してある金額を確かめて、雅音のカットソーの襟ぐりに、それだけの紙幣を差し入れる。

「来い、ほづみ」

「あっ、みおりさん……」

 みおりは、ほづみの腕を無理矢理引いて、店を出た。
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