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加虐の皇子と愛玩ドール
第7章 耽溺被虐
朧な真珠が浮かんだ如月の夜空の下、みおりはひときわ年輪を重ねた大木に鎖を巻いて、与子のリードを繋いだ。
みおりが指示を出すままに、四つん這いで庭中を動き回った与子の身体は、所どころが汚れていた。草木か石ころで引っかけたらしい傷跡もある。
みおりは与子が枯れ木の前にひれ伏すと、その蜜壺を後方から指で満たした。
与子の、久しくじかに触れた体内は、覚えのある、とろとろの肉のミルフィーユが密集していた。白い腰が狂わんばかりに顫えて悶えて踊れば踊るほど、ひくひく指に吸いついてきた。
与子は、絶頂を迎える度に声を上げた。
その上品なソプラノは、とりたてて特徴があるわけではなきにせよ、一度耳にすれば忘れない。慎ましやかさと奔放、貞淑さと闊達、相反するものを備える女に相応しい、二つの響きを内包していた。
二人、今夜は藍田隆二(あいだりゅうじ)が会社に泊まり込むのを幸いに、日付変更線が過ぎても構わないで、暗闇の冷凍室の中で温(ぬく)まった。
それからみおりは屋敷に戻ると、シャワーを浴びて、与子に茶を振る舞われた。
しどけない遊びに脱線していた昔話が、どちらからともなく再開された。
「思い出すわ……三年前、私が隆くんの家に嫁いできた頃、あの人の趣味が理解出来なくて、怖かった。友達に相談して、貴女の噂を聞いて……そして」
みおりは熱々の玄米茶を啜りながら、与子の頭の天辺から膝下まで、何を思うのでもなく眺める。
三年前、みおりはこの令閨を、無知の肉体から被虐に顫えるそれに変えた。
与子は当時二十三才、大学を出てから一年の花嫁修行を積んで、許嫁と婚姻したばかりだった。花婿は、みおりの勤めるアダルトグッズ製造販売メーカーの抱える下請け会社の代表取締役だ。与子は父親の計らいで、幼少期から、隆二と面識があったという。兄のように優しかった男への信頼は、自然な流れで恋愛感情に変わっていった。
だが、与子は初夜、隆二の知られざる嗜好を知った。優しかった男のあまりに意外な性癖に、ショックを受けて、友人に相談を持ちかけたという。