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加虐の皇子と愛玩ドール
第8章 仮想忘憂
「やっ、お洋服、ほんとに……」
「そんなに濡れそうなんだ?ってか、どうせもう濡れてるだろ」
「──……ぅ、……」
みおりはほづみの顎先を持ち上げて、店先の愛玩動物を吟味する目でじっと見澄ます。濡れた双眸、心なしか火照った眼球の潤沢、白い頬は薄紅のチークを落とさせたのに、血色の紅が差している。
喉元に人差し指を落として、鎖骨、谷間、みぞおちへ、一筋の愛撫を滑らせてゆく。
「はぁ、はぁぁ……」
「脱ぎな」
「っ、……」
「上半身だけ。今夜は、見ていてやるよ」
「──……」
ほづみの覚束ない指先が、ベストとブラウスを取り除いていく。みおりに柔順なドールは、完膚なきまでに躊躇いなく半裸になった。
下弦の月が滲んだ夜陰を背に、白いドールが現れていた。薄い肉を刷いた肢体、華奢だがほど好く弾力のある質感は、ぷるんとむき出しになった乳房だけ、飛び抜けて淫らな血肉が集中していた。
つんと尖った乳首を弾く。じっと見つめて、みおりが指先でまるく撫でると、忽ち乳輪まで硬化していった。
「っ、はぁ、はぁ……ぁっ、は……」
ほづみの肉厚の花びらを重ねた如くの唇を、押し開く。
みおりは、赤い舌を指でよけて、バイブレーターをこじ入れた。
「舐めろ」
「……、……」
とろんとした目が頷くや、唾液を連れた肉塊が、シリコンとプラスチックを水浸しにいざなってきた。
ぴちゃぴちゃ、じゅる、じゅるるる、と、お仕置きを自ら好む風変わりな家畜の仕草で、小さな唇がいかがわしい玩具を濡らす。
みおりはバイブレーターをオフにしたまま、喉へ喉へと押し込んでゆく。
「ぁむ、ぐ……ふっ…………ぁん、ん……」
ほづみの顔が無様にひきつる。唾液の威勢は増すばかりだ。みおりは恍惚とした眼差しに吸われながら、バイブレーターを引き抜いた。
ヴィィィィィィン…………と、どこか残酷な機械音が、明々とした凄寥を消散させた。
みおりはバイブレーターを最大強度に設定して、ほづみの乳首をきゅっとつまむと、手首にまで差し響いてくる振動を押しつけた。尖った蕾が一瞬にして形を失う。みおりは色濃い肉豆をパンナコッタの果実に沈めて、異物を、乳房の中でぐるぐる回す。