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第8章 仮想忘憂

「あぁっ、あんっ、あっああっ…………ゃんっ、ああっあっ……」

　ほづみの腰が豪快に踊る。みおりはもう一方の乳房にも同じ辱しめを与えながら、空いた乳首を唇に含む。

「はぁっはぁっ、はぁぁぁ…………あっあああっ……」

　ほづみの身体が形振り構わず暴れ狂う。昂る声、切迫する息、とっくに本人の意思とは絶縁していよう舞踊は、理性の糸が壊滅したようにも見てとれる。
　唾液にまみれた乳頭は、さばかり滑りやすくなった。舌先も、指の腹も、僅かな刺戟でほづみの顔を戦慄させる。

「──……」

　ほづみの下半身を守る衣服に、深いシミが広がっていた。

　みおりはほづみからリードを外して、スラックス、続いてパンティを引きずり下ろした。

　みおりは一端ほづみを起こして、上体にロープを巻きつけてゆく。くまなく肉叢が盛り上がるよう、きつく、きつく、四肢の自由を取り上げてゆく。乳房や二の腕、鎖骨、腹、臀部、脚…………みおりはそれら隅々を啄んではまさぐって、くすぐってはキスを散らして、作業を進める。腕を胴に固定して、甲羅状のロープの目から、ぽろんと乳房がこぼれでるよう縛り上げると、続いて脚を開かせた。太ももに縄目の着衣を施して、先端をカーテンレールに結びつける。
　いつもより少し凛々しい化粧に、一つに結った長い髪、それらはほづみらしからぬものでありながら、やはりみおりの目前にいるのはみおりだけの愛玩ドールだ。昼間の気位もどこへやら、ほづみの快楽に疲弊した眼差しの奥でぎらつく光、上下を繰り返す胸から絶えず押し出されてくる熱情は、ただただ興奮、性的な快楽を求めるだけの渇望だ。

「今夜は、天体観測日よりだ。こんなとこに全裸で縛り上げられて……」

「はぅっ、ぁ……」

　みおりはほづみの丸出しになった性器を手の甲で打つ。

「ここ、垂れ流しっぱなし。でもほづみはこれだけじゃ足りてないだろう？」

「ぁっ、……」

　片耳にキスを押しつけて、唇にヘアピンを挟んで抜き取る。そうしてみおりはほづみの髪を結んでいたゴムをといて、さらさらのロングヘアを解き放った。

　ほづみの編み込みを施していたところが、緩いウェーブを描いていた。じっとりと汗を帯びた白い肢体に、長い長い髪の一部が張りつく。