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加虐の皇子と愛玩ドール
第9章 快楽誘引

「…………」

 みおりは紙袋からローター、そしてディルドを引っ張り出す。

 愛液を垂れ流しにした全裸の女が、欲望的な匂いを撒いて、不安げな双眸を上に向けていた。

「脚、広げな」

「……、はい」

「もっと」

「──…」

 智花の脚が、茹でたての蟹よろしく大きく開いた。てらてらと光った性器は、もはや智花に備わる一部というよりも、さしずめ実験台に放り出されたモルモットだ。

「「ロストバージン」……快楽でほぐれやすくはなるんだろうな。無粋だ」

「ぁうっ」

 みおりはディルドの先端を、智花の陰核に押しつける。
 ぐりっ、と、シリコンの突起を柔らかな肉びらの中で動かす。

「雌は苦痛に喘がせるほど犯し甲斐がある。特に君みたいな初めての雌は、それだけで扇情的になる。……けど智花は、上司の実験を成し遂げなければならない」

「はぁっん、ああぁんっ……」

 だから、と、みおりはディルドを引っ込めた。

 芯の抜けた智花の太もも、足先だけが、時折、ぴくぴく顫動していた。

「請ってもらおうか」

「っ、……」

「目の前に真っ新な雌がいる。なのに私は楽しみを削ってまで、智花達の業務に付き合ってるんだ。智花は相応の埋め合わせをすべきだよ」

「……どう、すれば……」

 みおりはローターを智花の太ももに放って、ラブローションを出した。

「智花の身体をよく見せて。君のよがるとこ……好きなとこ。自分でいじって示してみるのは、身体を任せる雌の礼儀だ」

 みおりは振り向く。加虐体質でなければ被虐願望もない、されど並外れて想像力に長けたお局が、部下を焦ったげに見澄ましていた。
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