この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
加虐の皇子と愛玩ドール
第9章 快楽誘引

「Cに命令するわ」

 唯子の婉然たる口調を立てる唇が、静かに機能を再開した。

 この場にいる全員が、息を飲む。正確には、カップルシートで一人ノートパソコンを打っている客は除く。雅音によると、初めての客である上に、仕事中であると見えた所以、ゲームに誘いづらかったらしい。

「サディストは加虐に目覚めたきっかけを。マゾヒストは、Mネコちゃんになったきっかけを。覚えていること全て、詳しく話して聞かせること。隠語は使用不可」

「っ……」

「…──!!」

 みおりを始め、ほづみも雅音も玲乃も札を取り落としそうになった。
 笙は平然としている。智花も命じられずともさっき話したばかりだ。

「…………」

 一同、自分の札を確かめる。

「…………」

「…………」

 ややあって、みおりの右隣から、観念した声が上がった。
 鈴を転がすようなソプラノだ。やんごとなき雰囲気をまとったドールが、居心地悪そうに手を挙げていた。

「──…。私です」

 唯子の目が、籤で当たりを引いた子供よろしくきららいた。

「あ……ほづみちゃん、……」

「うそっ。ほづみちゃんがC持ってたの?」

「修羅場ー。ま、この際だからご主人様に告白しちゃえっ。……って、塙岸さんは知ってるのかな?」

 唯子と笙、玲乃、それから智花の嵩高な目がほづみを雁字搦めにする。

 みおりは知らない。ほづみを愛玩ドールと呼ぶようになったのは、三ヶ月前のことだ。それ以前のほづみに関する情報は、一切持ち合わせていない。
 大方予測がついたのは、ほづみが愛慾に関して淡白だろうということだ。至上の愉悦は快楽、相手を覊束したいとまで考えない──…代わりに不特定多数の女の前に股を開く。みおりはそんなほづみと相性が合った。

「私は、……」

 ほづみの誘惑的な唇が、王様ゲームのリングに立ち込めた緊張感をやおらほぐした。

「高校生の頃、私は……オナニーにハマりました。憧れの先輩の隠し撮り写真や、好きなアーティストの音楽をオカズにして……身体を触って気持ち良いところを調べるのが、睡眠に優って、昼間の疲れが慰められる行為でした」

 『Gemini』の淫靡なマスコット、もといみおりの愛玩ドールが、自らの性暦を物語り出す。…………
/278ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ