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加虐の皇子と愛玩ドール
第9章 快楽誘引
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ほづみの通っていた私立の高等学校は、就中厳格な校風だった。
制服においてはスカートは無論ソックスの丈まで定められており、当然、補助鞄も学校指定だ。ピアスは厳禁、染髪パーマは問題外、男子の場合はサイドが耳にかかったところで失格だ。受験生の通う塾並みに難関な授業が開かれて、生徒が高次の知識をしかるべく身につけているかは、定期テストで厳しく査定される。留年の通達も容赦がなかった。
そうした厳たる場所に限って、囚われの仔羊達は不羈の外界に焦がれるものだ。手に足に嵌められた枷の圧力に喘いで、手近な自由を求めて反動に走る。
ほづみのいたいわゆる仲良しグループも、例に洩れなかった。
派手やかな化粧で年を誤魔化し、深夜のゲームセンターの化粧室で仲間と酒を飲んだのだとか、今朝は年上の恋人の家から直接登校してきたのだとか、コンドームが切れたから帰りにコンビニエンスストアで補充しなければいけないのだとか、締まりのない会話が飛び交っていた。むしろ無名の私学の方が品行方正だったのではないか。
ほづみは友人の話に笑っては、勉学や部活で溜まった疲れをほぐしていた。恋愛に関心はあったにせよ、学生なりに忙かった。ほづみ自身は、周りほど他人に時間を費やせなかったのだ。
ほづみが自慰を覚えたのは、友人に借りたファッション誌がきっかけだ。
今振り返るとよく表紙を開く気になったものだと感心する、ほづみが生涯袖を通さなかろう、カジュアルスタイルやギャルファッションが取り上げてある月刊誌だった。辛うじてナチュラルガーリーの頁だけは楽しめた。モデルも美人が使われていた。至ってありきたりな月刊誌の読み物に、自慰が記事にされていたのだ。
いけないこと。
やみつきになること。
ほづみは相反する要素の匂った記事を熟読した。目を通した形跡を残すまいと、そこだけは慎重に頁をめくった。
ただし、所詮は十代を対象にした雑誌だ。自慰が記事に取り上げられても、肝心なところは詳説されない。ほづみは不足した知識をインターネットから漁ったために、零細だった好奇心は、電流のような焔に変わって燃え上がった。夜な夜なほづみは寝台にもぐると、インターネットから得た通りの知識を活かした。時には全身鏡に成熟しかけた身体を映して、風呂場でも覗いたことのない部位をいじった。