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加虐の皇子と愛玩ドール
第9章 快楽誘引
「宍倉さん、……」
「っ……」
ほづみが自分の総身をしめやかに駆け巡る焦燥の正体を探るまもなく、腕がぞんざいに引かれた。続いてもう一方の肘の下方が押さえられると、視界が可憐な顔でいっぱいになった。
呼吸が薄らぐ。ほづみはゆかの熱を帯びた息差しに包まれて、暗示にかかったように目蓋を下ろす。
ふわっ、と、とろけんばかりに柔らかなものが唇に押しつけられてきた。
息が封じられていた。ほづみの呼吸を抑えつける、攻撃的なはずの柔らかなものは、この世のものならざる質感が──…ほづみの知らなかった質感があった。
「ん……」
ほづみの片腕に自由が戻った。片方の胸が何かに包み込まれた。
さわっ……
むにゅ、にゅ……と、ブレザーの上からゆかの右手に揉まれた乳房が下着にこすれて、じんわり疼く。
ほづみの足が、がく、と後ずさる。一歩下がったところで後方の物置台に腰をぶつけた。
「ゃっ、……んっ」
ほづみはゆかから顔を逸らして、キスから、胸を苛む刺戟から逃れようと試みる。内股にゆかの膝が割り入ってきた。掴まれたままの片腕が、力強く食い込んできたゆかの指にずきりと戦慄く。
乳房を彷徨っていたゆかの片手がほづみの首に這い上がってきて、顎をしかと掴まれるや、またぞろ唇を塞がれた。ほづみの身体を立たせていた芯がとけ出す。喉にゆかの指の腹が、否、甘美な電流が伝う。
「──…」
小鳥が木の実を啄む具合の、数多に重なっていたキスが離れた。
ほづみがゆかをねめつけると、可憐な顔に浮かんでいたのは、好意を寄せた相手を見つめる女の表情とはほど遠かった。
「回りくどいのは嫌いなの」
「巴山、さん……っ」
「恋愛ごっこも」
…──夢見がちでくだらないだけ。
「ゃあっ」
ほづみのスカートの下をおもむろにまさぐっていたゆかの片手が、パンティのゴムを伸ばしにかかった。
柔らかな皮膜に硬い爪を乗せた指がついと触れるや、じょりじょりとした茂みが指の腹に絡めとられる。
ほづみの下半身が、きわどいところで、ゆかの指にくすぐり出される。