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加虐の皇子と愛玩ドール
第9章 快楽誘引

「んんっ……んっんっんっ……──んんんんんっっっ!!!……あっ!!!……」

 ごろっ、と、ペットボトルがほづみの胸を直撃した。
 顔の角度を傾けてまで重りを支えていたのも虚しく、びりりりりりっ、と、激烈な痺れが身体中に散らばったのは、それとほぼ同時のことだ。

「いたっ……ああぁぁぁっ!!……」

 冬の寒い日、鉄製の物体に触れた指先が得るあの痛みだ。
 ほづみの身体の十ヶ所に──…乳首に、脇に、内股に、肉襞に、まさしくそれが同時に起きていた。

「痛い!!痛いですっっ……どうにかなっちゃ…………ああっ!!あんっんんんっ、あんっあんっいたあああっ!!…………」

 ほづみは自ずと腰をゆかに押しつけて、バイブレーターに自ら性器をすりつける。乳首のキスが止められた今、快楽で痛みをしのぐには、バイブレーターが頼みの綱だ。

 ほづみの心中がゆかに読み取られたのか。
 まもなく振動音が止まった。バイブレーターが引かれてゆく。

「ぁっ、ぁぁぁ……痛いっ、です……もうダメでっ、あああっあんっ……」

 こうも痛みがあちこちで弾け散っている。血が出てもおかしくないのに、ほづみの皮膚は、洋服を脱いだ時と変わらない。

「うぅぅっ、はぁぁんっ、あぁぁ……許して……許して下さいっ!!……ひぅっ、うぅっ!!……」

 ほづみはゆかに訴える。
 されど、ゆかは手塩にかけて世話しているペットを躾ける時の飼い主同様、淡白で、それでいてあたたかな目をしてほづみを見下ろしているだけだ。

 そしてほづみは、ゆかに許しを請いながら、肉体が受けている仕打ちに恍惚と顫える本能を自覚し出す。…………







 突然、扉が開いた。
 ゆかの他に同居人はいないはずの家、そこで世にも淫奔な閨房に現れたのは、ほづみのよく知る人物だ。

 小池みほこ、ほづみが夕方まで合唱を共にしていた一人である。つまるところ声楽部で世話になっている、一学年上の上級生だ。
 肩に毛先が触れる程度の黒髪に、凛とした目鼻立ち、おまけに運動部に匹儔して長身で、みほこは異性愛者を自称している女子達からも人気がある人物だ。ほづみが密かに想いを寄せていた、優しく可憐な上級生の、親友でもある。
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