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加虐の皇子と愛玩ドール
第10章 淫楽引照
「みおりさんは、どっち派ですか」
「どっちだと思う?」
「当てなくても分かります」
みおりの従順な愛玩ドールが、開き直ったようにフォークを握った。
『Gemini』のオーナーでありほづみの実姉──…雅音の調理したフィットチーネが、薄い唇に吸い込まれてゆく。
「そもそも、そこですましてる皇子様なんて私よりすごいわよ。この間は処女の扉を突き破った数時間後に、ほづみちゃんの新境地を開拓。昨日はカップルを和解させるためだけに後輩を犯しかけたと聞いているわ」
「あ、一日二人は聞いたことがあります。マスターから」
「後輩を犯しかけ……ってことは、あの塙岸さんが前戯だけ?」
「──……」
「みおりさん、……」
「試してみてはいかがです?」
友人対カップルの論争は、第三者の予期されぬ介入が打ち止めた。
口を挟んだのは宍倉雅音、つまりみおりとほづみの間に並んだ夕餉をこしらえた当人だ。
長い茶髪を腰まで伸ばし、優雅なロリィタ服に身を包んだ妹とは百八十度違う雅音は、今夜もさっぱりとした顔に小慣れたヘアメイクを施して、ラメの入った春先のあでやかな薄着をとり合わせていた。
「ちょうどほづみもいることですし。あちらのお客様も、あの通り。これから色々学んでいかれたいお年頃でしょう」
雅音が視線で示したのは、なるほど、先日ここで王様ゲームに参加していたみおりの職場の米原智花だ。ほづみの通っていた高校の受付事務員、巴山ゆかの姿もあった。
「試すって?」
「そうねぇ。ほづみはみおりにここで抱かせて、智花さんにはゆるゆるのセックスで実験台になってもらうの」
「ほづみ、帰ろう」
「はい、みおりさん」
「ほづみ。……貴女、休憩あと十分よ」
「今日は休みます」
「雅音。いい加減にすれば?また捜索入るよ」
「みおりがいやならこうしましょ。貴女じゃなくて、笙さん達がほづみをヤるの。要は突っ込んでイかせれば良いんだから。最後に、ほづみと智花さんには同じ質問をするわ。幸せだった?……と。ここに嘘発見器がある。センサーが鳴らなかった方が、セックスに満足したことになるわ」
「…………」
みおりに疑雲が差し迫る。
相席にいた四人さえ、初めから雅音と組んでいたのではないか。あまりに用意周到だ。