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加虐の皇子と愛玩ドール
第11章 一対勾引


「ぁっ……はんっ、ああっ、……」

「分かってるんだ……分かってて、上司の人形の尻の上でだらしなく発情している君には、それなりの覚悟があるんだろうな」


 唇を離した一点めがけて鞭を振るう。


 くねくねっ……びくんっ…………


 智花の腰が波打つや、ほづみの背骨が仰け反った。智花の手首が、ほづみの首をリストバンドごと引っ張ったからだ。

 鈴を鳴らすような嬌音が、必死で何かを訴えんとした呻吟に変わる。


 ほづみと智花を繋いでいるのは、首輪とリストバンドだけではなかった。

 智花の身体を頻りとたわませるもの、それはみおりの鞭ではない。彼女の脚と脚の間の潤みにねじ込んであるバイブレーターだ。

 最高強度に設定してあるその性具は、一般に見られるように持ち手がない。代わりに今の智花の状態のように、挿入したまま他者の臀部に性器を押し当てられる形状だ。
 ただし、持ち手の代わりにもう一つ振動部が備わっている。そちらもバイブレーターとして機能し、一方は膣口を、一方は玉門を、畢竟するに二つの窪みを同時に愛でる代物だった。

 智花がよがればほづみの中の異物も暴れる。ほづみがよがっても同じだ。おまけに離れようとでもしようものなら、よほど落ち着いて動かなければ、ほづみの首が圧迫される。



「塙岸さん」


 足だけを使い、さんざっぱらほづみを呼び水にとりこめていた智花がソファを離れた。


 みおりの側に一つ歳下の女が優雅に足を止めた。


 とても今夜のように冷酷な宴を閃けるとは信じ難い、可憐な双眸がみおりを捕らえ、淡い春先の袖にくるまれた腕が、ダークカラーのブラウスをまとったみおりの上体に絡みつく。


 みおりはゆかのうなじに被さる茶髪を押さえ、赤い唇をキスで塞いだ。


 ちゅっ……ちゅ…………


 当然のことわりに従うようにまぐわい出す舌と舌の奏でる音は、このファッションホテルの一室では無に等しい。

 間断なく続いている振動音と、ほづみと智花の甘い甘い二重奏が、あまねく微音をかき消していた。
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