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加虐の皇子と愛玩ドール
第11章 一対勾引
* * * * * * *
「それで、ヤらせたの?」
「そんなはずないじゃないですか」
ありふれたビルの並びにとけこんだ、快楽の工場──…もといアダルトグッズ製造販売メーカー老舗の本社は、今日も変わらず営業していた。
週明け、みおりは雑務を済ませると、商品開発部を訪ねた。
地下一階から二階まで、至れり尽くせりの施設をあてがわれた社内最大級の部署。ここを統べる見浦はづるに、新製品の購入者の声を伝えるためだ。
デスクやら書棚やらコピー機やらの並んだ辛気臭い事務室に、煌びやかな皇子スタイルを決めた女とかっちりしたスーツ姿の女が膝を突き合わせていた。その会話はオフィスに極めて似つかわしからぬものだった。
「待って。塙岸さん。私の企画した『カップルでヌレヌレ!両極ビンビンバイブレーター』は、そのゆかさんというお客様に絶賛だったのよね。使用したのは、ゆかさんのペットとほづみさん。……どういう経緯で?」
「『Gemini』で飲んでいたら、終電に遅れて。ホテル行ったら空き部屋が一つしかなかったんです」
みおりが口を開くより先に、斜め後方から回答が差し込んできた。
カチューシャをつけた黒髪に、淡い春色のスーツ──…入社してまる一年の社員らしい、初々しい薄化粧の女がそこにかしこまっていた。
「塙岸さん、先日は有り難うございました」
「お疲れ様」
「分かったわ。それで4Pを思いついたのね。しかも、ゆかさんが持ち出したのが、偶然、我が社の新製品だったと」
「そういうことです」
ちなみにほづみの首と智花の手首を繋いでいたのは、みおりが所持していた拘束具だ。