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加虐の皇子と愛玩ドール
第11章 一対勾引
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世間が新生活だ新学期だと浮かれている卯月の上旬、商品開発部では、定例会議が始まろうとしていた。
コの字型に並んだ長テーブルにかしこまっているのは、代表取締役の吉川珠子(よしかわたまこ)を中心とする重役達と、はづるや彼女の部下達だ。それからここではイレギュラーなみおりと花叶、ボランティアで招待された少女が一人、主席近くの補助椅子にいた。
「みおりさん?!私、人手不足になった清掃員さんの代わりのアルバイトで呼ばれたはずでは……」
白いヘッドドレスに花柄のワンピース、パステルピンクのシフォンのブラウス──…とても声を荒げたりしなかろう見目の少女が、目くじらを立てた。
「手伝って欲しいことがあるのはほんとだよ」
「社長さんに、次長さん。経理部長さん、企画部長さん…………この状況、どこかで覚えがあります」
「そっか」
しかめつらしいスーツ姿の女が腰を上げた。
そうしてはづるは珠子の許可を手短にとり、徹底して男子社員の排除された会議室を見回した。
「皆様、本日は商品開発部の春夏の新製品第三弾の特別評論会にお集まりいただきまして、有難うございます。お手許の資料が各々の試作品の詳細です。実験中、ご不明がございましたら挙手でご発言下さい」…………
この会議の主旨を知らされなかったのは、ほづみと花叶だけである。
試作品を実際に使い、その勝手を商品開発において重要となる社員達が評価する。
今日の集いは、つまるところ三ヶ月前に行ったモニター実験とほぼ同じだ。
ただし、被験者はほづみだけではない。