この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
加虐の皇子と愛玩ドール
第12章 錯綜同衾
「…………。え……?」
予期せぬ影に、目を凝らす。
「ほづみ……?」
「ごめんなさいっ、見てません!見ません!ごめんなさい……っ」
可哀想な通行人だ。
ゆかのかつての人形は、覆っていた視界をほどくや、きびすを返して駆け出した。
「待ちなさい!ほづみ!」
ゆかは、ほづみを呼びとめていた。
単純な人間の本能がほづみの動きを止めたのか。それとも、かつてゆかをあるじとしていたドールの習性か。
ほづみは立ち止まっていた。振り向くことはしないで、薄明かりの中にとどまっている。
さく…………
ゆかはほづみに距離を詰めた。
後方から抱き締めて、智花の視線はものともしないで、着込んでいるにしてはふにゃりとした部位を掴んだ。
「ふっ、……」
「はしたない子」
もにゅ、むにゅ……むぎゅぅぅ…………
「っ、あん……」
「今日、みほこが来ているの」
小池みほこ。
それはゆかの従姉妹であり、ほづみがかつて恋い慕っていた少女の親友の名前だ。
「はぁ、はぁ……」
「学校までまだ時間はあるでしょう?」
…──下着もつけないで歩き回ってる、猥褻な根性を罰してあげる。
ゆかは、ほづみのマシュマロの質感の耳朶に噛みついた。