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加虐の皇子と愛玩ドール
第12章 錯綜同衾
「…………自由って素敵」
「雅音のこと?」
「そこでお姉ちゃんに繋がるところ、さすがはみおりさん。分かってます」
ほづみが悪戯げに笑った。
スーツケースのタイヤが二人の足音を消す。
ほづみのウエストから優雅に広がるスカートの裾が揺れる度、しなやかな肢体に沿う長い茶髪がその曲線を微かに撫でていた。
薄青と緑、コンクリートと土の色──…清澄とくすみの織りなす景色に、ほづみの白は可憐に際立つ。オレンジと薄紅を刷いたその横顔は、化粧によるものである以前に、ほづみ自身を主張していた。頰に落ちる髪から覗く濃い睫毛、鼻先、唇が、得も言われぬ美を証す。
「うぅぅん……反動きてるきてる、明後日まで思いっきり羽根を伸ばして楽しみましょうね!みおりさんっ」
「だな」
ホテルのエントランスが見えた。
みおりは塀の前に足を止めた。スーツケースを握るほづみの片手に自分のそれを重ねて、やおら握った。
「楽しくなりそうだ」…………