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加虐の皇子と愛玩ドール
第12章 錯綜同衾





 チェックインを済ませたあと、早速観光地へ出掛けていった。

 ここいらは、広闊な土地を利用した施設が数多ある。
 ガラス工房やオルゴール美術館を始め、人形展示室にテディベアミュージアム、ハーブ園、伝統工芸工場に山の生物博物館──…装飾性にもこだわりの見られるそれらは、みおりとほづみの愛読誌でも、おりふし取り上げられていた。


「こういうとこにいると、ほづみって冗談退けて生きたドールだ」

「みおりさんには負けます。さっきの女の子達もみおりさんのこと見てました」

「ほづみもじゃない?ってか、写真頼まれすぎ……」

「みおりさん目当てに決まってるじゃないですか!」

「ほづみ目当てだろ。可愛いって連発されてたじゃん」

「あー、あの女の人、お洋服はこっちの方が好みそうでしたね」

「ほづみ、もう少し左寄れる?」

「これくらいですか?」

「行きすぎ、五センチくらい……──そう、そこ」

 白い曲線のアーチの中に、花とハーブで造形されたウサギの像が立っていた。寄り添うのは、そよ風に靡くほどの軽らかなレースやシフォンを重ねた白をまとう生きたドールだ。

 みおりはほづみをスマートフォンのカメラアプリに収め、他のアングルでも凝った眺めを撮り収めていった。
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