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加虐の皇子と愛玩ドール
第12章 錯綜同衾

「今日だけでもすごい量……。あ、みおりさんも撮らせて下さい」

「良い──……って、返事する前に撮る?」

「えへへっ、今のが良かったんです」


 ほづみが悪びれもなく笑った。


「目、閉じてなかった?」

「そこは私の腕前です」

「ふぅん……初耳」

「お撮りしましょうか?」


 間延びした声の主は、高齢な婦人達の二人連れだ。

 地元民と見られる二人は、この土地独自の発音で、みおり達をにこやかに見ていた。

「良いんですか?」

「ええ、おばちゃん達そういうのは詳しくないけど、どこを押せば良いかしら」

「あ、では、ここを……明るさはこうして上げたり下げたりしていただければ、調整出来ます」

 ほづみが婦人達にスマートフォンを差し出した。

 みおりはほづみにあとでの送信を頼み、彼女とウサギの像を挟んで立った。

「はい、チーズ。…………。もう一枚撮っておくわね。あと、横でも」

「ご丁寧に有り難うございます」

「すみません、有り難うございます」

「はい。どう?確認して、撮れている?」

「はい!綺麗に撮っていただいて、有り難うございました」

「うふふ、お嬢さん達が別嬪なだけよ」

「良いわねぇ。私なんて、主人にデートしましょうと言っても、勝手に行って来いって言われちゃうのよ」

「ゴールデンウィークなのに、ほら、お友達同士で私達。貴女達、お若い内に青春しておくのよ」

「まぁ、田中さんダメよ。それじゃあお嬢さん達まで私達みたいにいい加減になるみたいじゃない」

「ふふふ、ごめんなさい。ごゆっくり…………」

「──……」

「…………」


 婦人達が立ち去っていった。

 みおりがスマートフォンを見ると、ほづみからのメールの受信があった。今しがたの写真が添付してある。

「…………私、そこまで野郎に見える?」

「いいえ。異性愛者の目からしても、みおりさんと私が恋人同士に見えるだけです」

「そっか、ほづみは慣れてるんだっけ」

「同級中、みおりさんのことそう思ってますよ。私もセフレだなんて言ったら社会的にまずいので、否定してません」

「右に同じ」
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