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加虐の皇子と愛玩ドール
第12章 錯綜同衾
料理の感想を交換したあと、みおりはほづみの学校生活の話を聞いた。中心は、官能小説から読み取る人間文化、つまり例のゼミナールだ。ほづみは相変わらず贔屓の作家を材料に討議に参加しており、いつまた特別課題を出されるか、気が気でないという。
みおりは会社の話をした。冬にほづみがモニターとして関わった製品も、そろそろ市場に並び出している。売れ行きは良好らしいことを報告した。
「お役に立てて良かったです。でも、もう騙されません」
「人手が足りてなかったのは事実だよ。ほづみの協力がなかったら、一般から集めたアンケート用紙で事務所はごちゃごちゃ。清掃員には変わりないだろ」
「無理矢理すぎます。あ、デザート来た」
「お待たせいたしました。シャーベットの三種盛りです」
「有り難う」
「有り難うございます、わーい、美味しそう!」
「…………」
二皿並んだプレートは、どちらもトリプルベリーとミルクの色彩が盛られてあった。だが、フレーバーが選択出来るこのメニューにおいて、みおりは苺、ほづみはアールグレイと、あとの一種は異なった。
「みおりさんが苺って、珍しいですね」
「わざとだし」
「新鮮味?」
「ううん。ほづみが食べてるとこ見たくて。一口どう?」
「良いんですか?じゃあ、みおりさんもアールグレイどうぞ」
みおりはスプーンにアールグレイの麓を掬った。
ひんやりとしたベルガモットは、見かけに比べて濃厚だ。喉から身体に染み渡る。