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加虐の皇子と愛玩ドール
第2章 暴虐願望

「お客様には、愛情を持って接するんだ」

「愛情……」

「まず、綺麗な声ですねっておだてて、気分を良くさせる」

「はい」

「お姉さんの声、もう少し聞いていたいです……と、電話を切らせないようにする」

「は……い」

「あとはべた褒め。適当に誉めちぎって社長を出せって要求したら、代わってもらえた」

「──……」

「契約は……、あ。花叶ちゃん、ウチの製品使ったことある?」

「いいえ。彼がそういうの不器用ですから」

「そっか。なら説明書を熟読、かな。短所は無視して長所だけを伝えれば、相手は頷く」

「もう、さっきから敷居高いです。先輩だから上手くいくんですってばー」

「じゃ、頑張って」

「あっ、先輩、待って下さい!」

 みおりが席を立ち上がりかけると、花叶が身を乗り出してきた。

「何か飲んでいって下さい!ついでにケーキでも!お礼させていただきます!」

「ごめん、このあとケーキの約束なんだ」

「そうですか」

「また何かあったら相談においで。その時は、アフターも空けとく」

  みおりは花叶のしゅんとした頭をぽん、と撫でた。

 そして今度こそテーブルを離れて、駅前へ急いだ。
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