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加虐の皇子と愛玩ドール
第12章 錯綜同衾
「宍倉さん」
聞き覚えのある声がほづみに呼びかけた。
色とりどりのライトの行き交う昨夜のラウンジの一角に、やはりほづみのよく知る同級生らの姿があった。
一人はスパイラルパーマの髪に原色のワンピースという派手な少女、相川萌(あいかわもえ)、隣にいるのが遊佐りんこ(ゆさりんこ)だ。萌と同じくりんこもいわゆるギャル系で、ブロンドに近い茶髪を後頭部でシニヨンにまとめ、五月というのにへそを出している。そして二人の向かい側に、化粧っ気のない、重たげな黒髪を片耳の近くで結った橋場たえ(はしばたえ)が落ち着いていた。
一見共通点のない三人は、同じ学校の同じ学科の友人同士だ。
「っ……、偶然……」
こんばんは。ほづみは定型的な挨拶をした。
ほづみの奥で疼いていたねっとりとした情熱が、急激に冷めていった瞬間だった。
「旅行?」
「うん、……」
「あ、宍倉さんをハミッたわけじゃないからね。予定あるって聞いてたし」
「そうそう、私達も思い立って来たっていうか、決めたのも急で」
「ううん、良いの。私も、予定があるって言ってたもんね」
萌とりんこが落ち着かないのは、ここにたえがいるからだ。
たえは、日頃彼女らと休みの日に出かけるほど親しくはない。ほづみも萌達との距離においては、たえとけだし同等だった。