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加虐の皇子と愛玩ドール
第12章 錯綜同衾


 びくんっ、…………


 萌かりんこのどちらかの手が、ほづみの太ももにじかに触れた。

 別の指がほづみの手首にまといつく。太ももに至った方の手は、脚をくすぐり出していた。


「マゾって、どんな感じ?」

「っ…………」

「驚かせた?実は知ってたんだ」

「そういうこと。だから、宍倉さんは気遣わなくて良いよ」

「ほら、上げてみなよ。私達全員、スカートの中身見ていてあげるから」

「…………。や、……」


 脚と脚の間の甘いとろみが、萌達の肩を持っていた。



 あとひと押し──…あとひと押し、酷い言葉を浴びせられたら、きっと。…………



「ダメだよ」

 たえの声が、ほづみの口先の拒絶に加勢した。

「ほづみちゃんが困ってる」

「出た。たえちゃんの良い子!」

「私達親切で言ってたんだよー?」

「ふふふ」

 二人の揶揄をあしらった、しかつめらしい優等生のかんばせが、やはり妖しい含みを持つ。

「良い子なのは、萌ちゃんとりんこちゃん」

「んん?」

「ほづみちゃん」

「…………。な、に……」

「私達ね、ある先生に勧められて、ほづみちゃんが一昨日お手洗いに入ったところの前にいたの。これ、もちろん心当たりはあるよね」

「っ…………!!」


 たえがバッグから引き出したのは、ICレコーダーとスピーカーだ。

 たえはそれらをアダプターで繋ぎ、再生ボタンをオンにした。


 流れ出したのは学生達の談笑、そして、それらをしのぐバイブレーターの機械音だ。


 そこに粘り気ある水音が、微かに聞こえ出してきた。
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