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加虐の皇子と愛玩ドール
第2章 暴虐願望
「んっ……んん」
「首、動かさない方が良いよ。蝋燭は、ほづみが私への誠意を表す証」
「んんっ、んぅ!……」
「それなりの罰を期待するなら、落として良いよ」
みおりはほづみの身体に蔓延る蝋で出来た模様を指先でなぞって、時折、白い皮膚を引っ掻く。
バイブレーターを引き抜いて、その陰核にあてがった。
「ん……んっ、んんぅっ!」
みおりはほづみの濡れた眼差しを向けられながら、バイブレーターで内股や肉襞をまさぐっていく。ほづみの敏感なところをあえて避けて、じわじわ思わせぶりに触れた後、また、小さな蕾に狙いを定める。
「んっ、ん、ん……!!」
「生きたお人形っていうのはね、ほづみ?ご主人様が絶対的存在なんだ。今みたく、口にあるものをくわえてろって命じられれば、何があっても、腰は振っても、それを守り通さなければいけない」
「ん、ん……んんっ」
「ほづみは、私以外のやつに身体に触れさせてはいけない。けど、ほづみは私に飼われてる身だから、私のことには干渉しない」
みおりは濡れた身体に被さって、ほづみの乳房にキスを降らせる。
「…──っ」
鎖骨をきつく吸い上げて、腕や首筋に、淡い印を落としていくと、ほづみから、ひとしお声にならない悲鳴が上がった。
「その代わり」
みおりはほづみに身を寄せて、その耳朶をぐいっと引っ張る。
鼓膜を覆った小さな穴に、ほづみにだけ聞こえる程度に小さく、儚い花に触れるように、そっとそっと囁きかける。
「…──は、……──。……だ」
「ん……」
「ほづみなら、理解出来るね?」
「んっ……はぅ……」
みおりはほづみのとろんとした双眸を見つめて、その唇から蝋燭を抜く。そして口許についた蝋を払った。
切なそうな吐息のこぼれる唇を、キスで塞ぐ。
みおりは、そしてさっき話題にしていた二つの小説に思いを馳せる。
『暴虐』と『血枷』は、どちらも主人公がパートナーに身も心もなぶられて、理不尽なまで服従させられてゆく、ドメスティックバイオレンスがモチーフに扱われたフィクションだ。
両作品を引き合わせれば、みおりとほづみの関係は、所詮は遊戯、甘く微笑ましいままごとだ。ただし、問題の小説は、ラストが決定的に違っている。そして一部のファン達によると、主人公のパートナーは、実のところ同一人物だという解釈があった。