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加虐の皇子と愛玩ドール
第4章 懲罰指導
* * * * * * *
翌朝、みおりが目覚めると、リビングに堅物な風采の女性がいた。
身嗜み程度に化粧された素朴な顔に、シュシュで結われたミディアムの茶髪、アイボリーのタートルニットが見事な身体の曲線を惜しみもなく覆い隠していて、黒い膝丈スカートから、健康的なふくらはぎが伸びていた。
昨夜とはまるで別人の、しづかの姿だ。
「おはよう」
「……おはよ。出勤?」
「今日は土曜よ」
横柄な物言いも、すっかり『Gemini』にいた時に戻っていた。
「貴女を見込んで話があるの」
「──……」
みおりは、しづかのこれだけは変わらない、知的な眼差しに伴う眼力に促されるようにして、彼女の九十度隣のソファに座る。
「私、リバーシブルなの」
「久々の性欲発散に、タチもしたいって?」
「要約すればそう。屈辱にまみれた顔の見たい、特定の子がいるの」
「生粋のマゾじゃないってか」
「昨夜は、小手調べでもあった。塙岸さん、噂以上にすごかったわ。貴女ほど残酷な人はそういない」
「それはどうも。君こそ興味本意にしては、才能あったよ」
「宍倉さん」
「え、……」
みおりは、しづかの愉快そうな目をした奇妙な表情(かお)をまじまじ見る。
思い当たるその苗字を持つ女性は、今のところ二人いる。
「そいつが、どうかした?」
「私が教師をしている学校、◯◯学園高等部なの」
「っ……。ほづみの大学の……」
「正解。それでね」
ギャザーの乏しいスカートから伸びた脚が、器用に襞をさばいて組まれた。
「聞けば、あの子、いかがわしいアルバイトをしているようね」
「ほぼボランティアだけど、それが何?」
「私、春から生徒指導部に所属することが決まってね。卒業生とは言え、ほづみさんの淫行は目を瞑っていられないわ。私は教師として、お仕置きして、正しい道に導かなくては」
「…………」
そういうことか。はめられた。
みおりはしづかの意図していることが見えてくると、ようやっと、自分が彼女に探されていた真の理由を悟った。