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加虐の皇子と愛玩ドール
第4章 懲罰指導
「ところで、宍倉さん」
しづかの語調が変わったのは、やにわのことだ。
否、ほづみからすれば、おそらく変化は感じなかろう。しづかのあの官能的な一面(かお)を知っていればこそ、感づく程度だ。
「貴女に関する、少し心配なお話を耳に挟んだの」
「はい……」
「単刀直入に訊ねるわ。貴女、お姉様のお店でショーに出られたことはある?」
「っ……」
「それから、モニター体験。こちらはお知り合いの会社だとお聞きしているのだけれど、どのような被験をされたのかしら?」
「──……」
ほづみをとり巻いていた生き生きとした雰囲気が、消えていく。
みおりは扉越しに重々しい沈黙を感じながら、ほづみの端然たる顔に狼狽えた色が現れているのが、脳裏に浮かぶ。
ふぅ、と、しづかの深刻な溜め息が聞こえてきた。みおりにとってはわざとらしいことこの上ないが、ほづみにとっては、おそらく極上の恐怖を高められよう溜め息だ。
「私ね、知り合いに『Gemini』の常連がいるの。それから身内に、株式会社◯◯◯に勤めている叔父が」
「……!!ちっ、違うんです……誤解……」
「何が誤解?」
「──……」
「宍倉さんは、この学校の学生よね。人前で裸になったり、人前で他人とセックスしたり、それが我が校の一員として、相応しい行動だと思う?」
「私は、……や、やましいことはしておりません。それにみおりさんは、他人ではなくて、ごしゅ──…お知り合いです」
「そう」
みおりがガラス窓を覗くと、案の定、勝ち誇った女の目が、仔ウサギの如く少女を見下ろして、今にも笑い出さんばかりに生き生きとして威嚇していた。
「本当に後ろ暗いことがないなら、身体検査も平気ね?」
「は……い……?」
「着ているものをお脱ぎなさい」
「はいっ?!」
「身体検査よ。貴女にやましいところがなければ、見られて困る理由はないでしょう」
ぴしぃっ、と、どこからか出てきた指示棒が、ほづみの喉元に突きつけられた。
指示棒の細い先端が、柔らかな首の根元を包む丸襟を留めている第一ボタンを、早く外せと言わんばかりにつつき出す。
「──……」
「早くしなくては、宍倉さん。貴女のいかがわしいアルバイトのこと、他の先生方に相談させてもらうわ」