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加虐の皇子と愛玩ドール
第4章 懲罰指導

「可愛いわ……宍倉さん。痛いの?では、気持ち良くしてあげましょう。いやらしい、はしたない仔猫ちゃん……」

「いやっ……やめて!!あのこと、言い触らして構いません……だからっ、ああっ、お願いしますせんせぇ……私……私は……っ、あっ……」

 くちゅくちゅ、と、扉越しでも聞こえる。

 みおりは、ほづみの髪を振り乱しながら腰を振る様を眺めながら、計画の仕上げをシュミレーションする。
 しづかの持ちかけてきた筋書きでは、みおりはこの後、ほづみの淫行を見咎めて、彼女に折檻する算段だ。そこのところは、しづかは関与しないことになっている。

「嘘をつくなんて、この学校の一員として間違っているわ?宍倉さん。嫌だなんて言いながら、貴女、下のお口はヌルヌルよ……私の指、食いしん坊なここに吸いつかれている」

「抜いて……出してぇ……だって、だって……わた、私は……みおり、さんがぁ……っ」

 好きなんです。あの御方のものなんです!

 ほづみのはしたない甘い悲鳴が、しづかにむき出しの憎悪をぶつけた。

「っ……」

 みおりは、小窓から視線を外す。

「…………」

 好き、と、言ったか?

 もとより嫌われているとは思っていないが、これは極端ではないか。それだけはっきり口にされようとは存外だ。

 やにわに、携帯電話の着信メロディが鳴り出した。

 白いフリルのブラウスに羽織っていたダークブラウンのジャケットの、ポケットから、軽快なクラシックのメロディが響く。

「──……」

「…………」

「あの、……先生?」

「……もしもし」

 みおりは通話ボタンを押して、小窓から教授室を覗く。

 しづかがべとべとの利き手に携帯電話を握って、耳にあてがっていた。

「──……」

「塙岸さん。……私」

「見てたから分かってる」

「中古じゃダメだわ。萎えた」

「──……」

「話が違う。付き合ってないって嘘だったの?」

「…………」

 みおりは携帯電話を切った。それから資料準備室を出ていった。
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